新機能紹介シリーズ Alteryx Designer 2024.2
Alteryx ACEのAkimasaKajitaniです。2024年10月30日(アメリカ時間)にAlteryxDesignerの2024.2バージョンがリリースされました。
今回も半年ぶりのアップデートですが、マクロ内のDCMに問題が出ているのでご注意ください。既存のツールは新機能により使い勝手が大きくあがっています!
詳細について紹介していきますが、Rツールもバージョンがあがっており、rgeosパッケージが削除されているため該当パッケージを使っている場合はご注意下さい。
既知の問題(影響大)
DCM
マクロ内で DCM 接続インターフェース ツールを設定すると、[接続] ボタンが表示されません。この問題は、今後のパッチで解決される予定です。既存の構成のマクロは、引き続き期待どおりに動作します。
複数フィールドフォーミュラ
日本語UIでは式エディタの更新により、CurrentFieldが選択できなくなっています。英語UIをご利用ください(もしくは手動で入力してください)。
バージョンアップ概要
- Rのバージョンアップ(4.4.0)
- プロキシ認証の更新(パブリックプレビュー)
- 新ツール
- ランク
- ツールアップデート
- 全体
- 式エディター
- ツール設定の既定のカスタマイズ
- ツール接続の色のカスタマイズ
- AMP互換ツールプリセット
- レコードIDツール
- グループ化機能
- データ出力ツール
- 空のファイルを出力しない
- コンテナ
- 複数行キャプション
- クロスタブツール
- 列/フィールド名に特殊文字保持可能
- JSONパースツール
- 準構造化データオプション
- ダウンロードツール
- SSH認証
- 等しいことを検証ツール
- 「ツールごとに学習」のワークフローが追加
- 全体
- 関数アップデート
- [新規]UnicodeNormalize
- [新規]UrlEncodeUTF8
- DateTimeFormat、DateTimeNow、DateTimeNowPresice、DateTimeToLocal、DateTimeToUTC
- タイムゾーンパラメータ追加
- DateTimeParse
- タイムゾーンパラメータ追加
- コネクタ追加・更新
- SingleStore
- Google Cloud Storage
- Google Big Query Bulk Loader の Google Workload Identity Federation サポート
- Amazon Redshift のアイデンティティ センター サポート (信頼できるアイデンティティの伝播)
- Redshift および Athena v2 ODBC ドライバー認定
- Amazon S3 ツールの OAuth 2.0 認証
- AMP関連
- デバッグモードに全対応
- [エラー時のワークフローの実行をキャンセルする]のサポート
- インテリジェンススイートアップデート
- PDFからテキスト抽出ツール
- Popplerのアップグレード
- PDFからテキスト抽出ツール
- その他機能
- Marketplaceアドオンの更新
- Designerのアラート更新
- ODBCタイムアウト上書き
- ダークモードの更新
- 新規キーボードショートカット
- その他
- libssh2のアップグレード
- Open SSL Upgrade
バージョンアップ 個別解説
• Rのバージョンアップ(4.4.0)
Rがバージョンアップされ、4.4.0となっています。これにより、rgeoパッケージが削除されているため、今お使いの方はご注意ください。
参考:
プロキシ認証の更新(パブリックプレビュー)
プロキシ認証の構成と認証オプションが強化されています。
上の画面で、「新しいプロキシ設定を有効にする」にチェックをいれると、オプションは以下のように変化します。
オプションとしては、
- プロキシを使用しない
- インターネットオプション設定を使用
- PACファイルを使用
- 手動
の4つから選択できます。
この設定は、サーバーとは同期できないのでご注意ください。
新ツール
ランク
今まで順位を出すのに色々とワークフローを試行錯誤する必要がありましたが、簡単にランキングをつけることができるツールが追加されました。
グループ化してのランキングにも対応していますし、単純に並び替えただけのものだけではなく、同じ順位がある場合にどうするか、など様々なランキングに対応しているので、これで対応できないケースはほぼないのではないかと思います。
ツールアップデート
式エディターの更新
複数行フォーミュラ、複数フィールドフォーミュラの式エディターが、フォーミュラツールと同じものになりました。
複数フィールドフォーミュラ
※ただし、複数フィールドフォーミュラは_CurrentField_等のオプションが選択できなくなっているのでご注意ください。
複数行フォーミュラ
複数行フォーミュラは問題なくプラス、マイナスN行が利用可能です。
ツール設定の既定のカスタマイズ
各ツールの設定を記憶できるようになりました。
例えば、私の場合、フィールド付加ツールなどは「生成されるレコードが多すぎる場合の警告/エラー」を「すべての付加を許可する」でほぼ100%のケースで使いたいのですが、「規定として保存」とすることで、次回以降、ツールを配置時にデフォルトで「すべての付加を許可する」で利用できるようになりました。気に入らない場合はいつでも「システム規定に戻す」で戻せます。
ツール接続の色のカスタマイズ
ツールのコネクタの色を変更できるようになりました。
ここで「接続の色を変更」をクリックすると、以下のように色選択ウィンドウが出ます。
これで以下のように色が変わります。
線をクリックすると、設定ウィンドウでは以下のように色設定が確認できます。
AMP互換ツールプリセット
ツールパレットのカテゴリの右隅にある「ツールの追加と削除」のギアアイコン(ツールパレットの設定)で「AMP互換」のプリセットが追加されました。これはAMPエンジンと互換性のあるツールのみを表示できます。
レコードIDツール
「列でグループ化する」オプションが追加されました。
データ出力ツール
データ出力ツールで、Excel(xlsx、xlsm)出力時に、レコードがない場合にはファイルを作成しないオプション「レコードがない場合は出力しない」が追加されました。
チェックを入れて、0レコードを出力しようとすると、以下のようなメッセージが出ます。
なお、XLS形式、XLSB形式ではこのオプションは利用できません。
コンテナ
コンテナツールのタイトル(キャプション)が複数行に対応しました。
以下のようになります。
コントロールコンテナも同様です。
クロスタブツール
今まで列ヘッダーに指定するとすべてアンダーバーに置き換えられていた特殊文字が、そのまま利用できるオプション「新しい列名に特殊文字を保持」が増えました。
つまり、以下のようなデータで、Field2を「列ヘッダーの変更」に指定します。
従来は、以下のようにヘッダーが「a_b」「b_c」とハイフンがアンダーバーに置き換えられていました。
これが、このオプションを利用すると、
というふうに特殊文字がそのまま残ります。
JSONパースツール
JSONパースツールに2つのオプションが追加されました。
- JSONフィールドのアンネスト
- 配列のフラット化
いずれもAMPエンジンのみの機能となります。
動きの詳細はHelp をご覧ください。
ダウンロードツール
ダウンロードツールの認証方式のオプションが追加され、SSHキーファイルを使った認証ができるようになりました。これにより、SFTPに接続できるようになります。
SSHキーファイルの認証の内容は以下のとおりです。
等しいことを検証ツール
AMPエンジンのみで動作する「等しいことを検証ツール」に「例を開く」が追加されました。
関数アップデート
UnicodeNormalize
一部のUnicode文字を正規化された文字に変更します。例えば、「㍑」などの合字 をバラし、「リットル」と変換することができます。オプションによって様々なパターンに対応できるようになっています。正直どのオプションがどれに対応しているかわかりにくいので色々と試していただければと思います。
書式は、
UnicodeNormalize(string,optioin)
で、オプションは、以下の4つが利用できます。
- NFC (Normalization Form Canonical Composition)
- NFD (Normalization Form Canonical Decomposition)
- NFKC (Normalization Form Compatibility Composition)
- NFKD (Normalization Form Compatibility Decomposition)
実質、NFKCかNFKDを使えば良いと思われます。
UrlEncodeUTF8
RFC 3986 準拠* パーセントエンコードを用いて文字列のエンコードを行います。これは、通常のURLエンコードと異なり、「/」などのURLの区切り文字もエンコードしてしまいます。そのため、クエリ文字列に「/」などをエンコードした形で含めたい場合にこの関数を用います。
書式は、
UrlEncodeUTF8(string)
と非常に単純です。
タイムゾーンパラメータ追加
いくつかの関数でタイムゾーンパラメータが有効になりました。対象は、
- DateTimeFormat
- DateTimeNow
- DateTimeNowPresice
- DateTimeToLocal
- DateTimeToUTC
- DateTimeParse
です。このタイムゾーンのオプションについては、AlteryxのHelpではリスト化されておらず 、IANA を参照するように、と記載されています。ちなみに、SummerTimeは無視されるようです。
例:先頭のDateTimeNowは、現在日時ツールの出力です。
名称的には、短縮形のJSTなども利用できますし、Japan Timeという名称なども利用できています。
コネクタ追加・更新
今回もいくつかのコネクタが追加されています。ようやくGCSに対応したようです。2024/11/1時点ではいくつかのクラウドコネクタのツールを見つけることはできませんが、リリースされるのを待ちましょう。
SingleStore
SingleStoreに対応しました。データ入力ツール上で選択可能となっています。
Google Cloud Storage
GCS(Google Cloud Storage)に対応しました。データ入力ツール上で選択可能となっています。
Google Big Query Bulk Loader の Google Workload Identity Federation サポート
Azure AD と Google Identity Platform の間でワークロード ID フェデレーションを構成して、サービス アカウントを偽装し、Google Big Query 内のユーザーのデータにアクセスできるようになりました。
Amazon Redshift のアイデンティティ センター サポート (Trusted Identity Propagation)
Amazon Redshift の ID Propagationにより、既存の ID を使用しながら Redshift データ ウェアハウスに安全に接続できます。この方法では、Redshift 用の別の認証情報は必要ありません。アクセス制御が合理化され、シングル サインオン (SSO) がサポートされ、きめ細かなアクセスのために IAM ロールと統合されます。
Redshift および Athena v2 ODBC ドライバー認定
AWS Redshift および AWS Athena v2 ODBC ドライバーが認定され、互換性が強化され、データ接続が最適化され、Alteryx とのシームレスな統合が可能になりました。
Amazon S3 ツールの OAuth 2.0 認証
Amazon S3 ツールは OAuth 2.0 認証をサポートするようになりました。
以下の通り、認証方式が大幅に増えております。
AMP関連
デバッグモードに全対応
インターフェースツールのテストビューにある「デバッグモード」はAMPエンジンでは未対応でしたが、本バージョンから対応するようになりました。
[エラー時のワークフローの実行をキャンセルする]のサポート
AMPエンジンオンの際に、ワークフロー設定の「エラー時のワークフローの実行をキャンセルする」が以前は動作していませんでしたが、本バージョンから対応しました。
インテリジェンススイートアップデート
PDFからテキスト抽出ツール
Intelligence Suiteで使われているライブラリ「Poppler」が0.68.0から22.12.0にアップグレードされました。これにより、出力に小さな変更が発生する可能性がある、とのことです。
その他機能
Marketplaceアドオンの更新
Marketplace機能は、ベータではなく商用リリースとなりました。本バージョンより、お使いのDesignerと互換性のあるツールのみにアクセスできるようになりました。また、コネクタが新しくなった場合は、更新ボタンでダウンロード可能です。
Designerのアラート更新
ODBCタイムアウト上書き
ODBCデータソースのタイムアウト時間を上書きできるようになりました。秒単位で設定可能です。設定場所は、オプションメニューの[ユーザー設定]-[ユーザー設定の編集]の「一般」タブの「ODBC接続タイムアウトを上書き」です。
ダークモードの更新
ツールの構成ウィンドウ以外のダークモード化が完了した、ということになっています。各ツールの構成ウィンドウについては順次アップデートされるようです。
新規キーボードショートカット
ショートカットキーが追加されました。
ユーザー設定を開く: Ctrl+Alt+U
既定に戻す: Ctrl+Alt+F
ワークフローのエクスポートウィンドウを開く: Ctrl+Alt+E
ワークフローの比較を開く: Ctrl+Alt+X
テンプレートウィンドウを開く: Ctrl+Shift+N
ワークフロー依存関係を開く: Ctrl+Alt+W
名前を付けて保存: F12
Tabキーを使用してグローバル検索結果に移動し、Enterキーを使用してキャンバス上の検索結果からツールを配置できるようになりました。
その他
libssh2のアップグレード
libssh2がアップグレードされバージョン1.11.0になりました。
Open SSL Upgrade
組み込みのOpenSSLモジュールがバージョン3.0.13になりました。これにより以下の脆弱性が解決となっています。
- CVE-2024-0727
- CVE-2023-6237
- CVE-2023-5678
※Alteryx Designer 2024.2.1.14時点の情報です