新機能紹介シリーズ Alteryx Designer 2024.1
Alteryx ACEのAkimasaKajitaniです。2024年5月1日(アメリカ時間)にAlteryxDesignerの2024.1バージョンがリリースされました。
半年ぶりのアップデートである今回は、組み込みPythonのバージョンアップにより様々なツールが影響を受けるので注意が必要です。また、テンプレート機能の更新、フォーミュラツールの個別オフ、新関数の追加などが目玉です!
詳細について紹介していきますが、今回組み込みのPythonがバージョンアップしているため、Pythonツールを使っているツールの互換性には気をつけてください。対応にしばらくかかるツールもあるようです。こちら から確認できます。必ず問題ないことを確認してからアップデートを行ってください(インテリジェンススイート、Cloud Execution for Desktopなども影響を受けます)。
バージョンアップ概要
- Pythonのバージョンアップ(3.10.13)
- カスタムテンプレートの強化
- Marketplaceアドオン
- DCM関連アップデート
- 既定のDCMモードを「DCMのみ」に変更
- DCM汎用外部保管庫
- Snowflake DSNレス接続プロキシオプション
- Google BigQueryのJSONキーファイル認証
- AMPエンジン関連アップデート
- AMPフルコンバートツール(スムージング、一般化、ヒートマップ、最寄り検索、商圏分析)
- Eメールツールの挙動変更(E1エンジンと同様になりました)
- 関数アップデート
- 新フォーミュラ関数追加(Coalesce、DateTimeQuarter、EqualStrings、FindNth、IsLowerCase、IsUpperCase)
- ツールアップデート
- データ入力ツール
- Excel読み込みの改善
- JSONを構造化形式で読み込み機能追加
- フォーミュラツール(個々の数式を無効に)
- セレクトツール
- ダウンロードツール
- 列作成ツール(正式サポート化)
- Eメールツール
- 等しいことを検証ツール
- データ入力ツール
- インテリジェンススイートアップデート
- Pythonバージョンアップグレード
- テキストマイニングツールのspaCyモデルの更新
- 自然言語ツールキット(NLTK)の更新
- その他機能バージョンアップ
- ユーザー設定UIの更新
- 「ここからスタート」の更新
- Designerオフラインヘルプファイルの更新
- プロセス実行中のEngineログの読み取り
- スワップファイル管理の改善
- AWSデータソース向けIAM認証サポート
- コネクタ追加・更新
- Parquet、Trino、Dremio、Databricks Volumeのサポート
- Snowflakeキーペア認証
- HshiCorp Vault mTLS認証
- ダークモード(更新)※まだベータ版扱いです
- サポート終了
- Insightツールの廃止
- Automation Anywhere 360 コネクタのサポート終了
- Dropbox コネクタのサポート終了
- XLS形式についての段階的なサポート終了についてのアナウンス
バージョンアップ 個別解説
Pythonのバージョンアップ(3.10.13)
組み込みPythonがバージョンアップされ、3.10シリーズになります。これにより、過去Pythonツールで作成しているワークフローが影響を受けます。具体的な話をすると、モジュールによっては互換性の問題で新しいバージョンのPythonで動かないものがあったりする、ということです。使用しているモジュールがどのバージョンのPythonで動作するかは念の為に事前にチェックをしてください。場合によっては最新のモジュールに入れ替える必要がありますし、対応していないモジュールの場合は代替するモジュールへ差し替える必要があります。
なお、これらはPythonツールを使ったマクロ、PythonSDKを使ったツールなどすべてが影響を受けます。また、インテリジェンススイートおよびCloud Execution for Desktopをお使いの方も注意が必要です。特にコネクタ関連はAlteryx社の方で更新スケジュールを公開しているため、該当のコネクタを利用されている方はスケジュールをチェックしてください。
参考:
カスタムテンプレートの強化
2023.2で追加されていたテンプレート機能が強化されました。サムネイル画像、所有者、メタデータをテンプレートに追加できるようになりました。ビューの形式の変更や、テンプレートのデフォルト保存場所の変更もできます。
例えば、以下はテンプレート保存画面です。追記できる内容がかなり増えています。
以下は、テンプレート適用時の画面です。
Marketplaceアドオン
メニューに「アドオン」が追加されました。ここをクリックすると、「Marketplaceアドオンの管理(ベータ)」メニューにたどり着きます。ここから、ダイアログが開き、各コネクタ等を直接インストールすることが可能になっています。
インストールをクリックすると、直接インストールが開始されます。
DCM関連アップデート
既定のDCMモードを「DCMのみ」に変更
既存のDesignerは影響を受けませんが、新規インストールの場合は、DCMの既定値が「DCMのみ」になっています。これから新しく使うユーザーの方はご注意ください。
DCM汎用外部保管庫
DCMの汎用の保管庫が追加されました。この機能をオンにするには、システム設定にて「Enable Generic External Vaults」をオンにする必要があります。
これにより、新規のDCM接続を作成する際に、外部保管庫にて「汎用」を選択することができます。
DCM 汎用保管庫についての詳細はこちら をご覧ください。
Snowflake DSNレス接続プロキシオプション
Snowflake DCMスキーマにプロキシパラメータが追加されています。これにより、プロキシを使用したDCM接続でSnowflakeに接続できるようになりました。
AMPエンジン関連アップデート
AMPフルコンバートツール
以下の空間系のツールがAMPエンジン化されました(元々空間系のツールのいくつかはマルチスレッドで動作するツールでしたので、大きく速度アップする、ということも無いかとは思いますが、未検証です)。
- スムージング
- 一般化
- ヒートマップ
- 最寄り検索
- 商圏分析
Eメールツールの挙動変更
Eメールツールの挙動がE1エンジンとAMPエンジンで異なっていましたが、E1エンジンと同じ動作をするようになりました。E1エンジンと同様にEメールツールが最後に実行されるツールとなります。
関数アップデート
新フォーミュラ関数が追加されました。
- Coalesce・・・複数の値を指定し、最初のNullではない値を返します
- DateTimeQuarter・・・日時カテゴリの関数です。1月始まりで見たときの四半期を取得することができます
- EqualStrings・・・テストカテゴリの関数です。厳密な文字列比較を行います(「=」で比較した場合は大文字小文字を無視しますが、この関数であれば大文字小文字も含めて厳密にチェックします)
- FindNth・・・文字列カテゴリの関数です。文字列内を検索し、条件に一致するものがあれば文字列内の位置を返します。条件は、文字列と出現回数です。たとえば、「11111」の文字列に対して「1」で検索し、「2」番目の位置を指定すると、「1」が帰ってきます(0はじまりのため1になります)。
- IsLowerCase・・・テストカテゴリの関数です。文字列がすべて大文字であればTrueとなります。
- IsUpperCase・・・テストカテゴリの関数です。文字列がすべて小文字であればTrueとなります。
ツールアップデート
- データ入力ツール
- Excel読み込みの改善
- JSONを構造化形式で読み込み機能追加
- フォーミュラツール(個々の数式を無効に)
- セレクトツール
- ダウンロードツール
- 列作成ツール(正式サポート化)
- Eメールツール
- 等しいことを検証ツール
データ入力ツール
Excel読み込みの改善
Excel読み込み機能が改善されました。範囲選択での読み込み時により高速に読み込みが行われ、データがまばらな場合でも範囲に一貫性が保たれるとのことです。
JSONを構造化形式で読み込み機能追加
これもAMPエンジンのみの対応ですが、JSONファイルを構造化(テーブル形式)で読み込むオプションが追加されています。
ですが、複雑な構造のJSONはうまく構造化されませんでした・・・。
そして、いつの間にかJSON Linesという形式もサポートされています(今回のバージョンからですね)。
フォーミュラツール
フォーミュラツールのそれぞれの数式を個別にオフにすることができるようになりました。
セレクトツール
セレクトツールの見た目が大きく一新されました。
ダウンロードツール
ダウンロード ツール内の POST リクエストのペイロードでの DCM タグ解決のサポートを拡張しました。また、ダウンロード ツール内のヘッダーとペイロード値 (またはその選択された部分) の Base64 エンコードのサポートが追加されました。
少なくとも、今まで表示がおかしかった部分が修正されました。
列作成ツール(正式サポート化)
列作成ツールは長らくラボラトリーに入っていましたが、ようやく正式サポートツールになりました。
Eメールツール
送信先にエラーとなるアドレスがあっても、処理を中止せず次のメールアドレスに処理を移すようになりました。
等しいことを検証ツール
これまでCReWマクロとして提供されていた「等しいことを検証(Expected Equal)」ツールが正式サポートツールになりました。
なお、AMPのみのツールになります。
インテリジェンススイートアップデート
Pythonバージョンアップグレード
Pythonツールのアップグレードにより、一部の機械学習の機能が変更されています。
- デシジョンツリーのアルゴリズムの詳細パラメータの「PreSort」パラメータが削除されました
- 2021.4より以前に作成された一部のモデルが予測ツールで機能しないケースがあるようです。また、AutoMLツールで作成されたモデルもサポートされなくなっています(AutoMLツールはしばらく前から非推奨ツールとなっています)。
テキストマイニングツールのspaCyモデルの更新
テキストマイニングツールで使用されている「spaCy」モデルが更新されました。これにより、以下のテキストマイニングツールの出力結果が変更される可能性があります。
- 固有表現抽出
- 品詞タグ付け
- テキスト前処理
自然言語ツールキット(NLTK)の更新
感情分析ツールで使われ散るNLTKツールキットが更新されており、感情分析ツールの出力結果が以前と変わる可能性があります。
その他機能バージョンアップ
ユーザー設定UIの更新
メニューの「ユーザ設定の編集」の画面構成が大きく変わりました。
左側にメニュー、右側に中身、という感じになっています。
「ここからスタート」の更新
ここからスタートはオンラインのページを表示するようになりました。毎月更新のようです。
Designerオフラインヘルプファイルの更新
オフラインのヘルプもオンラインと同じような見た目に変更となりました。
プロセス実行中のEngineログの読み取り
ワークフローを実行中に、Engineログを読み取りしようとするとファイルがロックされておりできませんでしたが、これができるようになりました。
スワップファイル管理の改善
スワップファイルの管理が改善され、セッション一時ディレクトリ内のサブディレクトリ内に書き込まれるようになりました。名称もSwapに変更されました。
AWSデータソース向けIAM認証サポート
AWSのデータソースの一部が認証方式としてIAMをサポートするようになりました。
- Amazon Redshift
- Amazon Athena
- S3 staging authentication for Redshift bulk loader.
- S3 staging authentication for Amazon Athena bulk loader.
- S3 staging authentication for Databricks bulk loader.
コネクタ追加・更新
Parquet、Trino、Dremio、Databricks Volumeのサポート
新たにいくつかのファイル・データソースをサポートするようになりました。
Parquetはファイルタイプのうちの一つです。AMPエンジンのみで読み込みが可能です。
Trino、Dremioはデータ接続から接続できます。
Databricks Volumesは、In-DBツール内のDatabricks Unity Catalogにて接続可能です。詳細はこちら 。
Snowflakeキーペア認証
Snowflakeのキーファイル認証を使用できるようになりました。
Google BigQueryのJSONキーファイル認証
DCMでサービスアカウント認証がこれまでより簡単になりました。
- Google BigQuery 接続を選択し、利用可能な認証方法のリストから JSON キーファイル認証を指定します
- JSON キーファイルへのパスを指定します
- Google BigQuery データに接続します
HshiCorp Vault mTLS認証
HashiCorp Vault に新しい認証方法が追加されました。 Designer は、mTLS (「相互 TLS」、「TLS クライアント認証」とも呼ばれる) を使用して Vault から DCM シークレットを取得できるようになりました。
ダークモード(更新)※まだベータ版扱いです
追加でいくつかのコンポーネントがダークモードで互換性を持つようになっています。
- マクロ、分析アプリ、およびインターフェイス デザイナー
- ツール構成ウィンドウ
- セレクト、サンプリング、ソート、ユニーク
サポート終了
以下のツールは廃止、もしくはサポート終了となります。
- Insightツールの廃止
- Automation Anywhere 360 コネクタのサポート終了
- Dropbox コネクタのサポート終了
- XLS形式についての段階的なサポート終了についてのアナウンス
XLS形式についての段階的なサポート終了についてのアナウンス
Excel XLS (Excel 2003) ファイル形式は段階的に廃止され、Alteryx は今後のリリースで段階的にサポートを終了します。 Excel XLSX (Excel 2007) 形式に移行することをお勧めします。
まだ現状では何も変わっていませんが、XLS形式のファイルは段階的にサポートを終了する方針のようです。
2024/05/29 update
Alteryx社のブログ「.XLS File Format Deprecation and End of Life in Alteryx Designer 」にて、続報が出ています。ご確認ください。2025年にはサポート廃止とのことです。
おまけ
Alteryxも20年経つんですね!
※Alteryx Designer 2024.1.1.17時点の情報です