
ThoughtSpotのAIエージェント「Spotter」についてご紹介します
AkimasaKajitaniです。 ThoughtSpotのSpotterについて、バージョン26.2(2026年2月)時点でどのようになっているのかご紹介します。Spotterは元々Sageと呼ばれる機能から始まっていますが、Spotter Agent(Spotter2)を経て、Spotter 3へと進化しました。 この進化によって何ができるようになったのでしょうか?本ブログでは、Spotterでどのようなことができるのかご紹介します。
Spotterとは?
初期のSpotter(以前はSageという名称でした)は自然言語で「何が起きているか」をチャートとして描き出すものでした。つまり、ThoughtSpotが元々持つ検索キーワードによるデータのチャート化の機能のうち、自然言語でその検索キーワードが作成できる、というのが初期のSpotterでした。言い方を変えると「text-to-search token」です。例えば「売上トレンド」などと書くと、「売上 年単位」と検索キーワードを作ってくれて、売上を時系列グラフで表示してくれていました。

Spotter2(Spotter Agent)ではデータソース自身に対しての質問ができるようになりました。これにより、そのデータセットがどのような項目を持っているのか、それによりどのような質問(分析)ができそうなのかをSpotterが提案してくれるようになりました。例えば、「このデータセットはなんですか?これを使ってどのような分析ができますか?」という質問を投げると、項目名やそれがどんな分析に使えそうかを答えてくれました。
Spotter3では本格的な分析エージェントへと大きく進化しました。これにより、様々なことができるようになっています。ここまで来ると、単なる「自然言語検索」ではなく「分析エージェント」と呼んでも差し支えないレベルになっています。
Spotter3でできること(時間がない人へ)
時間がない方向けに、Spotter3でできることを箇条書きでご紹介します。
- データ分析専用のAIエージェントです
- 単なる自然言語検索機能ではありません。
- BIツールを便利にサポートするレベルではなく、本格的なAIエージェントです
- ThoughtSpotに接続しているデータとしっかり向き合いましょう。データ分析と関係ない余計なことは出力されないようになっています
- 従来のBIツールの領域を超えた高度な分析が可能です
- Pythonコードを内部で実行できるため、高度な分析が可能です
- ThoughtSpotが従来から持っている変更分析がAIに組み込まれています
- 外部データを考慮したデータ分析が可能です
- MCPサーバーと接続できるため、外部の構造化データ、非構造化データを扱うことができます
- 分析対象のモデル(データソース)の選択も自動で選択可能です
Spotter 3でできること
Spotterを起動すると、以下のようなシンプルな画面から始まります。

ここでできるのは、日本語で質問すること(英語とか他の言語でももちろん質問できます)、データソースを選ぶこと、分析の深さを選択すること、ツール(Spotterコネクトと呼ばれるMCPサーバー)を選択すること、です。
メタデータについての質問
まずはどんな質問ができるのか見てみましょう。 基本的には、自然言語を用いた質問に回答することができます。ThoughtSpotに接続されているデータベース、テーブルに対して検索し、データを取得することができますし、そもそもどのようなデータを持っていて、どのような分析ができるのかも説明してくれます。 今回はサンプルのアパレルの小売データを使ってみましょう。
- 「これはどのようなデータですか?」と質問した例(メタデータに対する質問)

- 「このデータでどのような分析ができますか?」と質問した例

ここまでアシストしてくれると分析者としては非常に楽ですね。どんな分析ができるか書いてくれているので、知りたいことをどんどん聞いていきましょう。ただ、ここに書かれている内容はかなりざっくりとしているので、例えば「季節性の分析」と簡単に聞いてみることもできますが、もう少し詳しく知りたいことを書いてあげた方が質問者にとってより欲しい内容がかえってきます。
自然言語による質問
次に、実際にデータについて質問してみましょう。
- 「過去三年間の売上の推移を月単位に集計してグラフにして」と質問した例

質問に対して、的確に返してくれていると思います。Spotterが作成したチャートを見ると「sales 月単位 date = 過去3年」という検索キーワードが作成されました。分析者としてはこの検索キーワードだけ見ればあらかたどのようなものがグラフに描かれているか理解することができます。ここでSQLとか出てくるとエンジニアは良いかもしれませんが、それ以外の人はちょっと(いや、かなり)しんどいですよね・・・。しかし、ThoughtSpotではそのような心配は不要で、基本的にThoughtSpotは自然言語の質問を解釈し、SQLを生成するのではなく検索キーワードを生成するという方式になっています。 また、何かしら特徴的なパターンなどがあればしっかり日本語で要約して報告してくれることがわかります。これもSpotter3の特徴です。
変更分析(「なぜ」の質問)
ところで、2023年11月に大きく売上が減少しています。この理由を知りたくないでしょうか?ちょっと聞いてみましょう。
- 「2023年10月から2023年11月にかけて売上が大きく落ち込みました。なぜ売上が大きく落ち込みましたか?」と質問した例

ThoughtSpotには「変更分析」という機能があり、裏でこの機能を呼んでいます。これは他のAIツールと異なり、ビルトイン機能なので、今まで運用されてきた機能を呼び出しているためハルシネーションなどの心配は全く無いですし、わざわざどのような分析をして欲しい、ということを言わずとも、今まで実績のある方法で分析してくれるのは非常にありがたいです。 ところで、この「作業を表示」

というのは何でしょうか?
ThoughtSpot以外のLLMでも同様ですが、LLMの透明性を確保するために、思考の途中の段階はすべて作業として残っています。実際に動くところを見ていると、この作業を表示のところがちょこちょこ書き換わっていることがわかります。この「作業を表示」をクリックすると、その途中経過の内容を見ることができます。 実際にクリックすると、ここでは以下のような作業を行っていることがわかります。

この「ThoughtSpot回答ジェネレーション」をクリックすると、ThoughtSpotの検索機能で作られたチャートがでてきます。

この部分については、Spotterは間違える心配は全くありません。そして、ThoughtSpotが作ったこれらのチャートはライブボードに貼り付けたり、ここからさらに深堀りを行ったりすることもできます。例えば、ここで「ドリルダウン」することができます。

ここでLas Vegasで売れ行きの減ったアイテムを知りたいのであれば、item typeにドリルダウンできます。

どうやらJacketsのようです。これをこのままピンどめすると、ライブボードにこのチャートを貼り付けることができます。
Pythonを使った高度な分析
さて、Spotter3はPythonを用いた高度な分析をすることができます。
- 「店舗を売上状況に応じて分類して、販売促進キャンペーンを立案して」と質問した例

無事にデータ取得からキャンペーンの立案まで行ってくれました。一部、途中経過を見てみましょう。

確かに、途中Pythonのコーディングを行って詳細な分析を行っています。このPythonを使ったような分析は非常に様々なことが可能です。機械学習を使ったような予測や分類タスクだけでなく、より複雑な集計、計算など非常に様々な種類のタスクをこなすことができるため、ぜひ使ってみてください。
Spotterコネクタ(MCPサーバーへの接続)
ところで、Spotter3はMCPサーバーを呼び出す機能を持っています。これは「Spotterコネクタ」という名称となっています。外部のMCPサーバーに接続ができるため、WEB検索から外部SaaSからのデータの取得まで行うことが可能です。 Spotterの開始画面の右下にあるスイッチボタン?をクリックしてみましょう。

登録されているMCPサーバーがリストアップされます。ここでトグルがオンになっている機能を利用可能です。これらのMCPサーバーは管理者側で事前に設定しておく必要があります。
ディープリサーチモード
また、ディープリサーチモードも持っています。

これをオンにすると、最初に詳細な計画を決めてからデータ分析に入ります。この計画段階で一度質問が来るので、そのまま分析を進めていいのか、それとも計画に変更が必要なのか、必要に応じて指摘することで、分析の方向性を変更することができます。
このモードでは、かなり色々な視点から調査するので、実行時間も長くなることに注意してください(半年間の売上予測が標準のやり方だとだいたい60秒くらいでしたが、ディープリサーチで行うと、300秒以上かかりました)。ディープリサーチモードを使う場合は、コーヒーでも飲みに行きましょう(これは他のLLMでも同様に時間がかかる作業です)。
データソースのオートモード
ところで、Spotterはデータソースを自動で選択するモードを持っています。

- オートモードで「倉庫のデータの分析をしたい」と質問した例

確かにデータセットを探し出してくれました。「作業を表示」をクリックすると、以下のように内部で検索していることがわかります。

さて、Spotter3でどのようなことができるかだいたい想像はついたでしょうか?内部でPythonを使うため、単純なBIツールではできないような分析もできてしまうのは魅力的ですね!また、MCPサーバーを使えば外部データをデータソースとして持ってきたりもできますし、非構造化データすら分析内容に取り込むことができます。大きく進化したSpotter3をぜひご活用ください。
ThoughtSpotのSpotterならではの機能について
特にSpotterで特徴的ないくつかの機能を見ていきたいと思います。
なぜの質問
ThoughtSpotが他のBIツールに対して独自に持っている機能に「変更分析」という機能があります。これは、変化が起きたときにどの項目の何のアイテムが大きく貢献しているのか、というのを分析するための機能です。これは決まった計算式などがあり、ThoughtSpotの機能として提供されているものです。そのため、この「なぜ」という質問をSpotterに対して行うと、この「変更分析」の機能が実行されます。この利点としては、生成AIが一から独自に分析を行うものではないためハルシネーションが起きません。 以下は変更分析の機能で作成されたチャートです。この検索キーワードは定型的に作成されるものです。

チャート上で自ら分析が可能
ThoughtSpotがSpotterのチャット画面で表示しているチャートは、元々ThoughtSpotが持っているチャートの機能となります。このため、ThoughtSpotが元々持っているチャートの編集機能が利用可能です。自由なドリルダウンで思う存分深堀りすることもできますし、チャートタイプを好みのものに変えたりすることも可能です。 もちろん、ライブボードにピン留めすることも可能です。
ライブボードからもSpotterを呼び出し可能
ライブボードで各チャートをマウスオーバーした際、Spotterのアイコンがちらちら見えることにお気づきの方がいるかもしれません。Spotterは、チャット形式だけでなく、ライブボードからも呼び出すことが可能です。これにより、ベースとなるチャートに対して会話をすることができます。つまり、1から全てを指示しなくても、ベースのチャートから出発できるため知りたいことがより明確化された状態でSpotterに質問することができます。

Spotterコーチング
Spotterに自然言語で問いかけた時、意図しない返しが来たり、その組織特有の言葉をうまく認識しなかったり、ということがあるかと思います。そのような場合にSpotterをコーチすることが可能です。 例えば、売上の推移を出してほしいと依頼した時、月単位で出てきましたが、実は通常週単位で過去一年間を出すのがその組織の常識だったとします。このような場合にコーチングが役に立ちます。

作成されたチャートの「コーチングに追加します」をクリックします。すると、以下のような検索キーワードが作成されていることがわかります。

これを以下のように修正します。

さらに、以下のようなコンテキストを追加することもできます(これはオプションです)。

これにより以下のようなグラフで作成されます。

次回、同じようにSpotterに問いかけると、以下のようにコーチングの内容が反映されていることがわかります。

チャートの結果ももちろん上のチャートが生成されます。 このコーチング結果は管理者側で一覧で把握することができ、コーチングしなくともSpotterが出してきたチャートに対してユーザー側で「イイネ」「よくないネ」をつけたりすることができます。この結果が良くないもの(「よくないネ」がついている検索結果)に対しては管理者側でコーチングして組織全体で精度を高めていくような取り組みも可能です。 ThoughtSpotのSpotterの精度を向上させる取り組みは別途ベストプラクティスの記事もあるため、興味のある方はお問い合わせください。
BYOLLM(Bring Your Own LLM)
ThoughtSpotのSpotterは既存のLLM(Azure Open AI、Gemini)を使っていますが、ご自身のLLMを利用することも可能です。
セキュリティ面
初期のSpotterをSpotter Classic、バージョン2がSpotter Agent、現在のバージョン3をSpotter3と呼んでいますが、Spotter Classicでは、データはLLMに送信されず、メタデータとモデルのみで対応しています(生成AIは検索キーワードを作成するだけです)。 Spotter Agent/3では、管理者が有効にした場合のみ、LLMにデータが送信されます。このデータはトレーニングされないような契約をThoughtSpotとLLMベンダーで結んでいるのでご安心いただければと思います。自社の生成AIを使いたいということであれば、BYOLLM(Bring Your Own LLM Key)ということも可能です。
データ分析に集中する
Spotterは汎用的なLLMではなく、データ分析専用のAIエージェントです。そのため、余計な会話を行うことはできません。例えば、美味しいラメーンのお店を聞いても教えてくれません。もちろん、ラーメンのデータベースと接続されていれば、それはデータなので検索することができます。つまり、Spotterを使う時はデータ分析に集中することができる、ということです。
Spotterファミリー
Spotterには他にも3つのAIエージェントがあります。少しご紹介したいと思います。
Spotter Viz
Spotter Vizは、ライブボード作成用のエージェントです。全く何も無いところからモデルを検索させてライブボードを作ってもらうこともできますし、すでにあるライブボードを改修してもらうことも可能です。 2026年3月1日時点ではまだベータ版です。
Spotter Model
Spotter Modelは、モデリングをサポートするAIエージェントです。非エンジニアにとっては若干重いモデリング作業をサポートしてくれるAIは非常に助かります。 2026年3月1日時点ではまだ未リリースです。
Spotter Code
Spotter Codeは、組み込み開発をされるみなさんの強力な味方です。MCPサーバーとして提供されているため、Cursor AI、Visual Studio Code with GitHub Copilot、Claude Codeから利用することができます。組み込みだけではなく、APIを利用する際も利用可能です。 2026年3月1日時点ではアーリーアクセスです。
直近のアップデートについて
Spotterは、直近Spotter3.5にアップデートされていきますが、いくつかの機能が追加されるようです(ウェビナー「SpotMap2月」より)。
- エージェントインストラクション
- エージェントの出力結果の共有
- CSVアップロード
エージェントインストラクションは、専用のエージェントを作るというものです。今はモデルごとにインストラクションを書いていますが、エージェントごとにインストラクションを設定することが可能になります。 また、現在Spotterの出力は共有などができませんが、これができるようになります。 さらなるSpotter3.5以降のアップデートとしては、ライブボードや会話から学習を行い、よりパーソナライズされるような機能や、営業アナリストやマーケティングアナリストといった機能ベースのアナリストやプロジェクトベースのアナリストを立ち上げることができるようになるようです。
まとめ
- ThoughtSpotのSpotter3についてご紹介しました。
- Spotter3でどのようなことができるのか、サンプルを元にお見せしました
- Spotterならではの機能についてご紹介しました
- SpotterファミリーのSpotter以外の3つのエージェントについてご紹介しました
- 将来のアップデートについてもSpotMapウェビナーを元にご紹介しました
Spotterは非常に早い速度で進化しています。この記事もすぐに陳腐化するかもしれませんが、まずは2026年3月時点でのSpotterの状況ということでお読み頂ければと思います。
参考URL
APPENDIX
Spotterバージョン間機能比較
ドキュメントおよびSpotMapの2026年2月のウェビナーから、Spotterの各バージョンについて以下のような機能が提供されています。
| 機能 | 説明 | Spotter Classic (Spotter1) | Spotter Agent (Spotter2) | Spotter3 |
|---|---|---|---|---|
| 自然言語を用いた質問に回答する | データの検索や問い合わせを自然言語で行う | ✓ | ✓ | ✓ |
| データリテラシー | データセットとその意味についての説明とコンテキスト | ✓ | ✓ | |
| マルチリンガル | 英語に加えてその他の言語のサポート | ✓ | ✓ | |
| 推論と思考の検証 | Spotterの分析手順とロジックを表示し、透明性を確保 | ✓ | ||
| AIインサイト(要約機能) | 分析の概要と洞察を作成 | ✓ | ||
| なぜの質問 | 変更分析を通して、データの変化を説明 | ✓ | ||
| リサーチモード | 複数ステップの分析、計画、実行を詳細なコンテキストレポートとしてユーザーに提示 | ✓ | ||
| コードによる高度な分析(コード実行機能) | 統計および機械学習モデルや高度な分析のためのコード生成を含んだ、多段階分析が可能 | ✓ | ||
| データモデル選択のオート化(オートモード) | 質問すべきデータモデルの自動的選択 | ✓ | ||
| Spotterコネクター(MCPコネクター) | Spotterが利用するMCPをカスタマーが追加可能 | ✓ |
※現時点(2026年3月)時点では、Spotter3はアーリーアクセス機能となっています。
※2026年3月2日時点の情報です(ThoughtSpot バージョン 26.3.0.cl-80)
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