Alteryx GenAIツール(生成AIツール)概要

AlteryxのGenAIツール(生成AIツール)についてご紹介します

 

Alteryx ACEのAkimasaKajitaniです。

 

今回は、Alteryx Oneプラットフォームのオプションとして利用可能な「GenAI」ツールについてご紹介します。

 

GenAIツール(生成AIツール)とは?

GenAIカテゴリのツールは、現在(2025年9月時点)パブリックプレビュー中のツールとなっていて、LLMをAlteryxで使用するために作られたオプションです。これは、オプション「AI Builder」に属するものとなっています。AI Builder自体は、Intelligense SuiteとGenAIツールで構成されています。

 

GenAIカテゴリのツールは以下5ツールで構成されています。

  • LLM Override(LLM上書き設定)
  • Precision Match(表記標準化)
  • Prompt(プロンプト)
  • Schema Fit(スキーマ変換)
  • Synthetic Input(合成入力)

それぞれのツールで、M入力を持つツール(Precision Match、SchemaFit、Synthetic Input)は、最初にLLM上書き設定ツールでLLMへの接続設定を行う必要があります。それ以外のツール(Prompt)はツール内でLLMへの接続設定を行うことが可能です。

 

各ツール概要

LLM Override(LLM上書き設定)

LLM上書き設定ツールは、LLMへの接続設定を行うツールです。デフォルトではAlteryx社が用意しているLLMも2種類ありますが、別途契約しているLLMも使うことができます。その場合、このツールを利用する前に、AlteryxOneプラットフォームで接続先データとしてLLMへの接続設定を行っておく必要があります。各LLMへはAPIキーなどの設定が必要で、そのLLMが有償か無償かなどは各LLMサービスの方で確認してください。

 

 

Precision Match(表記標準化)

Precision Match(表記標準化)ツールは、Designerが持っているファジーマッチツールと似たようなことができるツールです。LLMを使うことでより高度に・柔軟にあいまいマッチングができるため、名寄せなどに非常に便利です。

 

 

Prompt(プロンプト)

Prompt(プロンプト)ツールは、LLMへ指示するプロンプトを送信するツールです。LLM上書き設定ツールと組み合わせなくてもこのツール単体でも機能します。他のGenAIツールのうち、マクロベースのツールの内部ではこのツールが使われています。

 

Schema Fit(スキーマ変換)

Schema Fit(スキーマ変換)ツールは、異なるスキーマをマッチングさせるためのツールと思いきや、お手本データを渡すことでお手本の通りデータを変換してくれるツールです。この時、Pythonコードも作成してくれます。フィットさせるのに時間がかかるため、本番ワークフローでこのツールを使わず、生成されたPythonコードを再利用することをおすすめします。

 

Synthetic Input(合成入力)

Synthetic Input(合成入力)ツールは、LLMに合成データを作成させるツールです。テストデータの作成などに役に立ちます。

 

利用可能なLLM

デフォルトで利用可能なLLMは以下の2つとなっています。

  • Open AI(Alteryx Engineering)
  • Vertex AI(Alteryx Engineering)※中身はGoogleのGeminiです

それ以外でLLMを利用したい場合、Alteryx ONEのクラウド環境のDataのConnectionsにて事前に接続設定を作成しておく必要があります。詳細は以下のページをご覧ください。

対象となるLLMは現時点(2025年9月)時点では以下のとおりです。

  • Amazon Bedrock
  • Anthropic
  • Azure OpenAI
  • Cohere
  • Databricks
  • DeepSeek
  • Google Gemini
  • Google Vertex AI
  • Groq
  • Hugging Face
  • Mistral
  • Open AI
  • Perplexity
  • xAI

外部LLMを使う場合は、利用規約などを注意深く確認してください。送信したデータが再学習になど使われるような契約もありえます。

 

実際にDesignerでLLMに接続して使ってみる

それでは実際にGenAIツールを使ってみましょう。手順としては以下のとおりです。

  1. GenAIツールを配置する
  2. Alteryx Oneプラットフォームへの接続設定を行う
  3. Alteryx Oneプラットフォームへログインする
  4. GenAIツールを使う(今回はPromptツールを利用)

手順2は一度作ってしまえば再利用可能です。

今回は、Promptツールを使ってみましょう。Promptツールは単体で使えるように、Alteryx Oneプラットフォームへの接続が組み込まれています(その他のツールは、LLM上書き設定ツールでAlteryx Oneプラットフォームへ接続してから各ツールにその接続情報を送信して利用します)。

 

GenAIツールを配置し、接続設定、ログインを行う

さっそくPromptツールをキャンバスにドラッグ&ドロップします。

Promptツールの設定画面は以下のとおりです。

ここで、Set Up a ConnectionをクリックしてLLMへ接続していきます。初期状態であれば、以下の通りAlteryx Oneプラットフォームの接続設定がないと思います。

右上の「+New」ボタンをクリックしてAlteryx Oneプラットフォーム設定を作っていきましょう。

 

ここで入力するものは、接続設定名(Data Source Name)、Base URL、Workspace Nameの3つです。接続設定名はお好きなもので。

  • Base URL

接続するAlteryx Oneプラットフォームの一番トップのURLを入力します。アクセス時に使われるURLは以下のようになっていると思いますが、この「.com」までの部分を使います。

https://au1.alteryxcloud.com/cloud-portal?workspaceGid=[YOUR WORKSPACE ID]

上のような形であれば、「https://au1.alteryxcloud.com」を入力します。

  • Workspace Name

ワークスペース名は、ログイン時に選択しているもの、もう少し確認しやすいものとしては、Alteryx Oneプラットフォームにログインしたときに右上に出てくるワークスペース名のことです。

必要事項を入力し、「Save」ボタンをクリックすると、次はCredenstialを作成する必要があります。

 

右中央にある「+Connect Credential」ボタンをクリックします。

 

ほぼそのまま進めればオッケーですが、「Allow connection for SDK」にチェックを入れておきましょう。ちなみに、「Test Connection」ボタンは機能しないようなので、無視してそのまま「Create and Link」をクリックしてください。

 

「Connect」ボタンが青色になっていればLLMへの接続が可能になります。青色になっていない場合は、「Allow connection for SDK」にチェックが入っていないと思いますので、チェックを入れてください。

この後、Alteryx Oneプラットフォームにログインすることになります。パブリックプレビュー版では一度目は失敗するとのことなので、二回ログインする必要がありますが、成功するとブラウザに以下のような成功メッセージが出ます。

 

このブラウザのウィンドウは消してオッケーです。それではDesignerに戻りましょう。うまくいっていれば、以下の通り「Authentication Verified」という緑色のメッセージが出ます。

 

今回は、LLMプロバイダーとして、自分でAlteryx Oneプラットフォームに登録した「Gemini」を使ってみたいと思います。「Gemini_AK」を選択します。

 

しっかり利用可能なモデルが出てきます。

 

普通に2.5 flashやproも選択できるんですね・・・。これで、好きなモデルを選択しましょう。

Promptツールで実際にLLMを使ってみる

実際にPromptツールを使ってLLMにタスクを依頼してみましょう。今回はセンチメント解析をしてみたいと思います。一番下のプロンプト入力のテキストボックスにプロンプトを入力します。

既存フィールドのデータをプロンプトで使うこともできます。今回はあらかじめNegaPosiというフィールドにLLMでネガティブ・ポジティブの判定をしたいデータを入力してあります。

 

ちなみに、NegaPosiフィールドは以下のとおりです。

 

これを上の設定で流すと、以下のように回答が得られました。

 

これだと、回答が文章で帰ってきているので非常に使いにくいです。少しLLMへの指示方法を変えてみましょう。

 

これで以下のような回答が帰ってきました。

 

どう考えても悪化しています。

Geminiさんにベストプラクティスを聞いてさらにプロンプトを改良してみました。曖昧な言い方をするとだめなので、選択肢を限るように指示してみます。

 

いい感じで回答が帰ってきました。これなら使えそうです。

 

ちなみに、今回は自分で準備したLLMを使ったので、APIの使用状況をGoogle のコンソールで見てみると、もりもり使われてます!

 

 

まとめ

  • GenAIツールの概要を紹介しました
  • GenAIツールからLLM(Alteryx Oneプラットフォーム)への接続設定の作成方法をご紹介しました
  • GenAIツールのPromptツールを例に実際の使用感をご紹介しました

 

おまけ

ちなみに、今回のワークフローをgpt-4o-miniで行ってみたら、指示通りしてくれませんでした。

モデルによって癖があるので、各モデル個別にプロンプトエンジニアリングをしっかり行う必要がありそうです。

 

不具合等

今回の検証で発生した不具合についてご紹介します。

認証の問題

パブリックプレビューで判明している既知の制限として、1回目のAlteryx Oneプラットフォームへの認証が失敗する、という情報が記載されています。2回目は成功するので、同様の事象が発生した場合は再度認証をやり直してください。

以下の認証画面が出ないときは失敗です。

何かを契機で時間差で出たりもしてよくわからないですが、GA版(商用版)では治るといいですね・・・。

翻訳がされていません

現時点では、日本語UIにすると、ラベルにリソースが割り当てられていないものがあるため、以下のようにおかしな表示になる項目があります。現時点では英語UIでの利用を推奨します。

 

 

※Alteryx Designer 2025.1.2.120 時点の情報です

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