新機能紹介シリーズ Alteryx Designer 2023.2
Alteryx ACEのAkimasaKajitaniです。2023年11月1日(アメリカ時間)にAlteryxDesignerの2023.2バージョンがリリースされました。
半年ぶりのアップデートである今回は、本格的なDCMへの移行、欠損マクロ対応でしょうか。もちろん今回もツール・関数のアップデート入ってます!
詳細について紹介していきます。
バージョンアップ概要
- カスタムテンプレート
- ワークフローで欠損しているマクロを検索
- インタラクティブ結果グリッドの機能拡張
- DCM関連アップデート
- DCM移行ツール
- DCMの適用
- ODBCのDCMサポート強化
- HashiCorp ValultのOIDC認証
- AMPエンジン関連アップデート
- AMPを使用したC++によるカスタムフォーミュラ関数の構築
- ツール互換性向上
- エンジン互換モードを既定で有効にするオプションの追加
- 関数アップデート
- 新フォーミュラ関数追加(GetPart、GetLeft、GetRight)
- IRR関数、XIRR関数の更新
- ツールアップデート
- 集計ツール
- レンダリングツール
- Blobツール
- ツールUI更新
- Windows11サポート
- インテリジェンスイートアップデート
- Pythonバージョンアップグレード
- バーコードツール
- その他機能バージョンアップ
- Cloud Execution for Desktop体験の刷新
- クラッシュレポート自動化
- ODBC接続の接続タイムアウト設定
- 汎用OAuth
- OpenSSLバージョンのアップグレード
- CEFのバージョンアップグレード
- コネクタ追加・更新
- Amazonツール
- Databricks Unity カタログ
- Snowflakeのクエリキャンセル
- AzureAD認証更新
- ダークモード(更新)※まだベータ版扱いです
- サポート終了
- Windows Server 2012のサポート終了
- Tableau Serverへのパブリッシュツールの削除
- Tableau .tdeファイルのサポート終了
- Python SDKサンプルツール削除
- レガシーAlteryx Platformへのアクセス
バージョンアップ 個別解説
カスタムテンプレート
テンプレートを利用してワークフローの作成をスタートできるようになりました。ファイルメニューからテンプレートにアクセスすることができます。
以下のテンプレートダイアログで適用したいテンプレートを選択してください。
ワークフローで欠損しているマクロを検索
Designerがワークフローを開く際、ワークフロー内のマクロが発見できない場合に、手動で選択してから読み込むことができるようになりました。
リンクが切れているようなマクロを含むワークフローを読み込むと、以下のようなダイアログが表示されます。
ここで更新ボタンを押すと、以下のように欠損したマクロを正しいものを指定する画面が出ます。
正しく選択できれば、以下のようにパスが緑色になるので、これでOKを押せば完了です。
インタラクティブ結果グリッドの機能拡張
結果ウィンドウ内で、データ操作している際、適用されている変更がヘッダ部分に数値として数が出るようになりました。
結果ウィンドウ内では、データクレンジング、フィルター、ソートツールの機能がそれぞれ利用可能です。また、ここで適用ボタン(緑色のチェックボタン)を押すことで、ワークフロー内に処理が追加されるようになっています。詳細はこちら 。
DCM関連アップデート
以下の機能が実装されました。
- DCM移行ツール
- DCMの適用
- ODBCのDCMサポート強化
- HashiCorp ValultのOIDC認証
DCM移行ツール
DCMを使っていないワークフローをDCMに変更するツールが追加されました。メニューの[オプション]から[DCM移行ツール]が利用可能です。詳細はこちら (2023年11月2日時点では英語でした)。
DCM移行ツールダイアログでは、以下のようにファイルもしくはフォルダーまるごと一括で処理するワークフローを選択出来ます。
DCMの適用
2023.1までメニューの[システム設定]の[ユーザー設定]の「DCM」タブにあった「DCMを有効にする」オプションがなくなり、常にDCMは有効になりました。今までチェックを外していた場合も、2023.2では強制的に有効になります。ただ、実際に利用するかどうかは引き続き同様に選択可能です。
ODBCのDCMサポート強化
DCMサポートをすべてのデータベースに対して拡張しました。
HashiCorp ValultのOIDC認証
DCMでHashiCorp Vaultからシークレットを取得する際に、OIDCトークン認証を利用できるようになりました。
AMPエンジン関連アップデート
- AMPを使用したC++によるカスタムフォーミュラ関数の構築
- ツール互換性向上
- エンジン互換モードを既定で有効にするオプションの追加
AMPを使用したC++によるカスタムフォーミュラ関数の構築
AMPエンジンで、カスタムC++数式関数が動作するようになりました。カスタムC++数式関数の例としては「Alteryx Formula Add Ons」などがあります。
ツール互換性向上
以下ツールが、AMP互換になりました。
- Blob変換
- サンプル作成
- 距離
- フォーミュラ
- インピュテーション
- 複数フィールドフォーミュラ
- 複数行フォーミュラ
- 空間プロセス
エンジン互換モードを既定で有効にするオプションの追加
AMPエンジンをオンにした際に、エンジン互換モードは常にオフでしたが、デフォルトでオンにできるオプションが追加されました。メニューの[オプション]の[ユーザー設定]から[既定値]タブの「AMP Engine有効の場合にエンジン互換モードを自動的に有効にする」にチェックを入れることで、AMPエンジンをオンにした際に常にデフォルトで互換モードがオンになります。
関数アップデート
新しいフォーミュラ関数が利用できるようになりました。
- 新フォーミュラ関数追加(GetPart、GetLeft、GetRight)
- IRR関数、XIRR関数の更新
新フォーミュラ関数追加(GetPart、GetLeft、GetRight)
これらの新関数は、区切り文字で区切られたテキストに対して、一部を抽出する関数です。GetWordは空白を区切り文字として文字列を抽出していましたが、好きな区切り文字に対してできるようになりました。
GetPart
文字列に対して、指定した区切り文字で区切った際、指定した場所の文字列を抽出する関数です。場所の指定は、0始まりの数値になります。
例:
「テストです。テスト。」に対して、区切り文字を「。」とした時に、1つ目の区切り文字の後ろのワードを抽出しています。
GetLeft
文字列に対して、指定した区切り文字より前の部分を抽出する関数です。
例:
「テストです。テスト。」に対して、区切り文字を「。」とした時に、最初の区切り文字「。」より左にある部分を取得しています。
GetRight
文字列に対して、指定した区切り文字より後の部分を抽出する関数です。
例:
「テストです。テスト。」に対して、区切り文字を「。」とした時に、最初の区切り文字「。」より右にある部分を取得しています。後ろから区切り文字を見ていくわけではないのでご注意を!
IRR関数、XIRR関数の更新
フォーミュラツールおよび集計ツールで使用できるIRR関数、XIRR関数が、ニュートン・ラフソン法を使うように変更されました。
また、以前のバージョンでは、結果が収束しない場合に「999999」が誤って出力されていましたが、警告とともにNullになるように修正されました。
ツールアップデート
- 集計ツール
- レンダリングツール
- Blobツール
- ツールUI更新
集計ツール
ExcelのPRODUCT関数と同等の機能が集計ツールに実装されました。これは、数値同士を掛け合わせる機能です。
レンダリングツール
出力形式がPDFの場合に、右から左に書かれるような言語のサポートが追加されました。
PowerPointにて、ワイドスクリーン設定のオプションが追加されました。
Blob変換ツール
Blob変換ツールはAMP互換になりました。また、変換モードが「Blobフィールドから変換する」の場合に、「バイナリデータの出力SHA256ハッシュ」オプションが追加されました。
※一番下の「PNG、GIF、JPG Blobをレポートスニペットに変換する」オプションが埋もれているのはCASE登録しておきました・・・
ツールUI更新
一部ツールのUIが更新されました。
レコードID
2023.2
2023.1
ソート
2023.2
2023.1
サンプリング
2023.2
2023.1
ユニーク
2023.2
2023.1
Windows11サポート
Windows11が正式サポートされました。
インテリジェンススイートアップデート
- Pythonバージョンアップグレード
- バーコードツール
Pythonバージョンアップグレード
インテリジェンススイートのベースの基盤で使用されているPythonのバージョンが上がりました。今回から3.8.16となります。
バーコードツール
バーコードツールを利用するのに、追加のパッケージ「Microsoft Visual C++ 2013 再頒布可能パッケージ」が必要となります。こちら からダウンロードしてください。
その他機能バージョンアップ
その他の機能についてご紹介していきます。
- Cloud Execution for Desktop体験の刷新
- クラッシュレポート自動化
- ODBC接続の接続タイムアウト設定
- 汎用OAuth
- OpenSSLバージョンのアップグレード
- CEFのバージョンアップグレード
Cloud Execution for Desktop体験の刷新
Cloud Execution for Desktopのいくつかのオペレーションが改善されています。
- Alteryx Analytics Cloud Platform (AACP) に保存するときに、進行状況バーが表示されるようになった
- ワークフローが AACP に保存されている場所に移動するクイック リンクにもアクセス可能になった
- 以前に AACP に保存されたワークフローをDesigner Desktop で開く場合、ワークフローを名前で検索したり、ワークフローリストを並べ替えたりできるようになった
クラッシュレポート自動化
エンジンの実行中に落ちるなどした場合に新しくクラッシュレポートを報告する機能が追加されました。詳細はこちら 。このオプションは、メニューの[オプション]の[詳細オプション]の[システム設定]で変更可能です。
システム設定中の「Automatically send crash report to Alteryx」が本オプションです。
ODBC接続の接続タイムアウト設定
30秒以上接続にかかるようなデータソースにも接続できるようになりました。
汎用OAuth
DCM接続時、汎用OAuth接続が追加されました。
それぞれの設定項目は以下のとおりです。
汎用の設定可能なOAuthアプリケーション
汎用の設定可能なOAuthトークン
OpenSSLバージョンのアップグレード
OpenSSLのバージョンが3.0.8に更新されました。これにより以下の脆弱性が解決されています。
- CVE-2023-0286
- CVE-2023-0401
- CVE-2023-0217
- CVE-2023-0216
- CVE-2023-0215
- CVE-2022-4450
- CVE-2022-4304
- CVE-2022-4203
CEFのバージョンアップグレード
Chromium Embedded Framework (CEF)が111.2.4+g49cae37+chromium-111.0.5563.65 / Chromium 111.0.5563.65にアップデートされました。これには、Chromium 111.0.5563.148が含まれています。
コネクタ追加・更新
コネクタ関係です。
- Amazonツール
- Databricks Unity カタログ
- Databricks でテーブルを結合する
- Snowflakeのクエリキャンセル
- AzureAD認証更新
Amazonツール
AmazonS3ツールがアップデートされています。仮想ホスト型のパスのサポート、ファイルまたはフォルダーへの直接URLパス入力も可能となり、新たにExcel形式へ対応しました。
2023.2
2023.1
Databricks Unityカタログ
Databricks Unity Catalogに接続できるようになりました。詳細はこちら 。
Databricks でテーブルを結合する
In-DBツール利用の際、Databricks Unity Catalogのターゲットデルタテーブルのデータを更新または削除できるようになりました。
Snowflakeのクエリキャンセル
Snowflakeのクエリの実行パイプラインを止めた時に、クエリをキャンセルできるようになりました。
AzureAD認証更新
Redshift、Databricks Bulk Loader、Azure SQL Server、Azure Synapse、Azure SQL DatabaseにてAzureAD認証ができるようになりました。
ダークモード(更新):アップデート
2023.1で追加されたダークモードですが、さらに更新されています。ダークモードについてはこちら で更新箇所を確認できます。
※ダークモードは、[オプション]-[ユーザー設定]-[ユーザー設定の編集]の「カスタマイズ」タブにて切り替えが可能です。
※現時点では、ベータ版ということでご了承下さい。
サポート終了
- Windows Server 2012のサポート終了
- Tableau Serverへのパブリッシュツールの削除
- Tableau .tdeファイルのサポート終了
- Python SDKサンプルツール削除
- レガシーAlteryx Platformへのアクセス
Windows Server 2012のサポート終了
MicrosoftはWindows Server 2012について2023年10月10日にサポート終了したため、Designerも同様にサポートを終了します。
Tableau Serverへのパブリッシュツールの削除
「Tableau Serverへのパブリッシュツール」はインストーラから削除されています。Tableau出力ツール を利用してください。
Tableau .tdeファイルのサポート終了
Tableau 2023.1リリース時点でTDEが非推奨となりました。これにより、Designer 2023.2移行でもTDEはサポート廃止となります。既存のワークフローは編集されない限り実行可能とのことです。
Python SDKサンプルツール削除
PythonSDKサンプルツールは利用できなくなりました。新しいv2 PythonSDKツールをご利用ください。Alteryx IO から入手可能です。
レガシーAlteryx Platformへのアクセス
メニューの[ファイル]内の[保存]、[開く]から従来のAlteryx Platformにアクセスできなくなりました。また、[オプション]メニューの[Alteryxのリンクを管理]も利用できなくなりました。
おまけ
ファイル保存などのダイアログにアイコンが付くようになりました。
※Alteryx Designer 2023.2.1.7時点の情報です