AlteryxとTableauの連携についてご紹介します
「AlteryxとTableauはよくセットで使われる」という話がありますが、では実際どう便利でどのように使えるのか、ご紹介したいと思います。
TableauからAlteryxへ至るストーリー
Tableau(タブロー)はセルフサービスBIツールとして非常に高い評価を得ているソフトウェアです。
ドラッグ&ドロップ操作が主体の簡単操作でデータの可視化が可能で、軽快な動作、見栄えが良く動きのあるダッシュボードが簡単に作れます。
そして、1ライセンスから始められ、スモールスタートできるとあって、導入の敷居も非常に低いです(サーバーが主となるBIツールの場合、なかなか初期投資がかかるのです)。
また、Tableau Serverを使えば簡単に作ったダッシュボードの共有も可能で、データ更新の自動化や購読などの機能を利用することもできます。Serverについても、5ライセンスからのスタートとなり少人数のチームから始めることができます。
しかしながら、ある程度慣れてきて難しいものに手をつけようとすると、Tableau初心者では手に負えないケースなどあり、思ったよりも難しいぞ、ということになるわけです。
ここでAlteryx(アルテリックス)を導入すると、先にAlteryx側で集計処理などを行っておくことで、Tableau側のダッシュボードはシンプルに表現できるようになり、Tableauでそれほど高度なことを行うことなく、初心者でも簡単にダッシュボードを作ることができるのです。
つまり、強力なETL機能を持ちセルフで使うことのできるAlteryxと、強力なデータ可視化機能を持ち、動きのあるダッシュボードが簡単に作れるTableauをセットで使うことで悩みが解決する、ということになります。
互いの弱い部分を補えるAlteryxとTableau
AlteryxとTableauの強み、弱みを簡単な表にしました。あくまでそれぞれのツールと比較した場合の話です。
Alteryx | Tableau | |
---|---|---|
強み | 強力なETL機能
強力なGIS機能(空間分析) 機械学習モデルによる予測機能 R、Pythonのコードを実行可能 スモールスタートで始められるデータ分析プラットフォーム |
インタラクティブなダッシュボード・グラフ作成
スモールスタートで始められるBIプラットフォーム |
弱み | インタラクティブなダッシュボード・グラフ作成 | ETL機能(実用的ですが基本的な機能に絞られています)
予測機能(基本的なモデルに限定されています) |
ぱっと表を見た時点でなんとなく弱い部分と強い部分がかぶらずに補完関係になっているのがわかるかと思います。それくらいわかりやすい補完関係となのです。
詳細解説していきたいと思います。
Alteryxのグラフ作成機能はTableauと比較するとやはり弱いです。Alteryxの持つグラフ機能は、基本的なものに限定されています。一方、Tableauは専門だけあって操作性が非常に良いですし、表現できる幅も広いです。
TableauのETL機能は、基本的なことは抑えられています。ある程度汚いExcelファイルでもデータインタープリターで読み込むことができますし、複数ファイルの読み込みも可能です。また、Tableau Prepが2018年4月から利用できるようになりETL機能は強化されましたが、やはり複雑なことを行うところになるとAlteryxにはかないません(Tableau Prepの良い点は、データが即サマライズされますので、データを理解しながらETL処理を構築できることです)。
どのように連携するのか
それでは、AlteryxとTableauの連携方法を具体的に紹介します。
基本的には、ETL→ダッシュボードという流れが一般的ですので、この流れ通りAlteryxでデータを加工し、Tableauに読み込ませてグラフ・ダッシュボードを作成、という連携となります。
機能的な話と手法の話を分けて紹介したいと思います。
1.機能的な連携について
Alteryxが持つTableauとの連携機能としては、以下のようなものがあります。
- AlteryxからTableauデータ抽出ファイルを出力する
- AlteryxからTableau Serverのデータ抽出ファイルを更新する(書き換える)
- AlteryxからTableauがデータソースとして利用しているデータベースの内容を更新する(Tableauが参照しているDB自体を書き換える)
1-1.AlteryxからTableauデータ抽出ファイルを出力する
AlteryxはTableauのデータ抽出ファイル形式(TDE、Hyper)を出力することができるため、ローカルに保存しているTableauデータ抽出ファイルを書き換えることで連携することができます。
1-2.AlteryxからTableau Serverのデータ抽出ファイルを更新する(書き換える)
Tableau Serverのデータソース(抽出ファイル)も直接書き換えることが可能です。
1-3.AlteryxからTableauがデータソースとして利用しているデータベースの内容を更新する(Tableauが参照しているDB自体を書き換える)
もちろん、Alteryxはデータベースに直接出力可能ですので、Tableau側でデータベースに直接接続しているような場合は、そちらに直接出力するという連携方法もあります。
※なお、Alteryxで作成したワークフローの定期的な実行にはDesktop Automationというライセンスが別途必要です。TableauであればPrepをWindowsのタスクスケジューラーを活用することで定期的な実行は可能ですが、Tableau Server側で自動実行させるには別途Tableau Data Management Add-onのライセンスが必要です。
2.連携手法について
前項目では機能的な面に触れましたが、Alteryx側で事前にデータ加工を行うことで、さらなる高度な連携が可能です。
Tableauに読み込む前にAlteryx側でTableauが持っていない高度なデータ加工(複雑な集計、予測分析モデル・空間分析機能の利用)を行い、それをTableau側でビジュアライズする使い方が効果的です。その他、Alteryx ConnectというプロダクトもTableauと連携可能です。
- Alteryxで事前に集計を行う
- Alteryxの機械学習モデルの結果をTableauで表現する
- Alteryxの空間分析機能の結果をTableauで表現する
- Alteryx Connectを使って、データソースとTableauのダッシュボードをカタログ化
2-1.Alteryxで事前に集計を行う
Tableauで、LOD表現など初心者にとって複雑な集計を行わなければならないような場合、Alteryxで事前に集計しておいて結果をTableauに読み込ませることで、Tableau側はシンプルなビジュアライズが可能になります。
2-2.Alteryxの機械学習モデルの結果をTableauで表現する
Alteryxは機械学習モデル(予測モデル)を持っているため、学習したモデルを使って作成された予測結果をTableauに渡し、Tableau側でダッシュボード化する事が可能です。
Tableauは時間予測モデル(指数平滑法)を持っていますが、それでは物足らない場合、Alteryxの持つ豊富な予測モデルを利用可能です。
2-3.Alteryxの空間分析機能の結果をTableauで表現する
Alteryxの強力で手軽な空間分析機能を使い(GISソフトで行うような複雑な知識は不要です!)、ポリゴンの加工、データ付加などを行い、その結果をTableauで読み込みダッシュボード化することができます。
GISソフトでの空間分析はスポット的な処理となりますが、Alteryxでは処理を作れば次からも同じ処理が使えるということで、運用面で非常に楽になります。
2-4.Alteryx Connectを使って、データソースとTableauのダッシュボードをカタログ化
さらにAlteryx ServerのオプションとなるAlteryx Connectは強力なカタログ機能を持っています。これを活用すれば、データソース、Tableauのダッシュボードを一括で検索できるプラットフォームを構築可能です。
AlteryxユーザーがTableauを使うメリット
今まではどちらかというとTableau目線だったかと思いますので、Alteryxユーザーに焦点を当ててみたいと思います。
メリットとしては以下の通りです。
- Tableauの持つ強力なグラフ作成・ダッシュボード作成機能が利用できる
- エンドユーザーがTableauのインタラクティブなダッシュボードを活用できる
- Tableau Serverを利用すれば、データソースを更新するだけで事足ります
1.Tableauの持つ強力なグラフ作成・ダッシュボード作成機能が利用できる
Alteryxではデータの整備は大変楽ですが、レポートを作り込むのはなかなか骨が折れます。Tableauを使えば、見栄えの良いレポートを高速に作成することが可能です。
集計や元ネタの作成はAlteryxで行い、表現はTableauで、とすると、非常に効率的にレポートが作成できます。
2.エンドユーザーがTableauのインタラクティブなダッシュボードを活用できる
レポートを共有する際、AlteryxですとどうしてもPDFなどの静的なレポートになってしまいます。しかし、Tableau Serverを使えば、インタラクティブなダッシュボード(レポート)をエンドユーザーが利用可能になります。
3.Tableau Serverを利用すれば、データソースを更新するだけで事足ります
Tableau Server上のデータソースだけ更新してしまえば、あとは「TableauServer見ておいてください」と通知するくらいで済み、さらにはエンドユーザー側でサブスクリプション機能(定期購読機能)など利用することもでき、手間がかかりません。
まとめ
Alteryx、Tableauそれぞれの弱い部分をお互いに補完し合うことができることをご紹介しました。
また、それぞれのユーザーのメリット、そしてどのような連携ができるか、を紹介しました。
ポイントは、豊富なAlteryxの機能をTableauで簡単に利用ができること。それぞれのソフトについて必ずしもエキスパートにならなくても使えることでしょうか。
AlteryxとTableauを連携して使うことでありとあらゆる悩みを解消しましょう!