新機能紹介シリーズ Alteryx Designer 2022.1
2022年5月4日にAlteryxDesignerの2022.1バージョンがリリースされました。
起動するとみなさんすぐに気がつくと思いますが、まず画面の配色が変わりました。まぶしい!
今回からデフォルトエンジンがAMP Engineに変更になりました。
詳細について紹介していきます。
バージョンアップ概要
- AMP を既定エンジンとして使用
- Designer ユーザーインターフェースの改善
- DCM 接続ツール
- インテリジェンススイートアップデート
- 品詞タグ付けツール
- バーコードツール
- 画像処理ツールの OCR 最適化機能
- OCR 速度の最適化
- キー / 値ペア (KVP) 抽出ツール
- ツールアップデート
- Auto Insights アップローダー
- Databricks DeltaLakeサポート
- その他機能バージョンアップ
- Gallery から Server への用語更新
- Alteryx ライセンスサーバー
- AlteryxActivateLicenseKeyCmdの新しいオプション
バージョンアップ 個別解説
AMP を既定エンジンとして使用
今回の一番の目玉(?)がこちらのAMP Engineが規定となったことでしょうか。
ただし、「新規作成のワークフローにAMP Engineが適用される」ということなので、今までの既存のワークフローには影響を与えません。また、オプションにより設定変更が可能です。メニューの[オプション]-[ユーザー設定]-[ユーザー設定の編集]の[既定値]タブにて「すべての新しいワークフローにAMP Engineを使用する」のオプションで規定の動作を変更できます。
AMP Engineとは?
Alteryx Engineの新しいアーキテクチャであるAMP Engineは、Alteryx Multi-threaded Processingの頭文字を取ってAMPと呼ばれますが、その名の通りCPUのたくさんのコアを使ってマルチスレッドで動作させることで、大量のデータを高速に処理できるように設計されています。そのため、データの流れ方が従来のエンジンと異なり、いくつかのツールではデータの並び順が変わってしまいます(これは、「エンジン互換モード」を有効にすることでオリジナルエンジンと同じデータの並びになります)。
※オリジナルエンジンのことをE1 Engine、AMP EngineのことをE2 Engineと呼ぶ場合もあります
オリジナルエンジンとの違いなど、以下リソースを参考にして下さい。
AMP Engineでは85以上のツールと標準マクロ、バッチマクロ、反復マクロをサポートしています(位置最適化マクロはサポートされていないってことですね・・・)。非対応ツールも自動的にオリジナルエンジンで動作します。
新規にワークフローを構築する場合は、ツールの出力の並びが変わったとしてもすぐに気づけるので大きな問題はないかと思います。
オリジナルエンジンとAMPを使用した入力データと出力データのフィールド数制限
オリジナルエンジン、AMP Engineに関わらず、入力・出力時、フィールドの数は32,000の制限があります。
※日本語のリリースノート未記載
AMPグループ化フレームワークの変更
AMP Engineを使用した際のグループ化は、オリジナルエンジンと同じようになるように変更されています。影響を受けるツールは、「集計(Summarize)」「結合(Join)」「複数結合(Join Multiple)」です。
※日本語のリリースノート未記載
Designer ユーザーインターフェースの改善
DesignerのUIが更新されました。他のAlteryx製品との整合性を高めたとのことです。フォント、色、アイコンが更新され、表示がモダンな印象となっています。また、ワークフロー実行中は、タブに「(実行中)」と表示されなくなり、回転するアイコンが表示されるようになりました。
ワークフロー実行中のタブの状態:
新バージョン:
旧バージョン:
個人的感想:
- アイコンは特に今までと変わらないという認識ですが、若干ツールパレットのサイズ感が変わっているように思います。
- フォントが若干小さくなったと思います
- 白ベースがまぶしい!
DCM 接続ツール
2021.4で追加されたDCM接続ツールですが、DCMモードが変更されています。
新バージョン(v2022.1)
旧バージョン(v2021.4)
Intelligence Suite アップデート
オプション機能である「インテリジェントスイート」がさらに強化されました。今回は、「テキストマイニング」「コンピュータービジョン」にいくつかのツールと機能アップデートがありました。
テキストマイニングカテゴリ
新バージョン(v2022.1)
旧バージョン(v2021.4)
1つのツールが追加されました。
品詞タグ付けツール(Part-of-Speech Tagger Tool)
文章で「I use the Alteryx Designer.」を入力すると、
といった形でJSON形式で構文解析されて結果を取得できます。これを閲覧ツールで見ると、
といった形で見ることができます。しかしこれ、文章が長くなると横にやたら長くなるので不便です・・・。また、画像に落としたりできず、唯一レンダリングツールでHTML/Composer形式に保存するくらいしかできません。
また、残念ながら現時点では日本語未対応です。日本語で構文解析(形態素解析)したい場合は、引き続きMeCabやJanomeをPythonで使う必要があります(筆者もマクロを作成していますので、どうぞご利用下さい)。
コンピュータービジョン
新バージョン(v2022.1)
旧バージョン(v2021.4)
1つのツールが追加され、2つのツールで機能強化されています。
バーコードツール(Barcode Tool)
QRコードもしくはバーコード(コード128)を作成、読み取りするツールが追加されました。
作成する分には特に問題なく生成されます。以下は、「www.alteryx.com」をQRコードにした例です。
写真などからの読み取りの精度は検証の必要がありそうです(本ツールで作成したものは特に問題なく読み取り可能です)。
画像処理ツールの OCR 最適化機能
画像処理ツールに「OCRの最適化」機能が追加されました。
OCR 最適化ステップを使用すると、ノイズの多い PDF (白以外の背景やテクスチャの背景、透かしを含むドキュメントなど) を光学式文字認識 (OCR) 用に前処理できます。この追加手順により、キー / 値ペアツールの結果が大きく改善されます。
とのことです。
OCR 速度の最適化
画像入力ツールとテキストへ変換ツールのパフォーマンスが改善されました。
画像入力ツールとテキストへ変換ツールのパフォーマンスが改善され、ワークフローの実行速度がさらに高速になりました。複数ページの PDF など、サイズの大きいドキュメントの解析時に、大幅な改善 (最大 40% の速度向上) を実感できるはずです。
とのことです。
キー / 値ペア (KVP) 抽出ツール(Key-Value Pair Tool)
ラボラトリにひっそりと追加されているこちらのツールですが、本来のカテゴリはコンピュータービジョンカテゴリのツールとなります。
OCRで取得した画像に対して、キーを与えると値を自動的に抜き出してくれるツールです。OCRによる業務自動化を楽に助けてくれるツールになるかと思います。
サンプルワークフローでは、以下のようなPDFがあり、
これに対して赤色をつけた部分をキーとしてテキストで渡すことで、自動的に値を取得可能です(画像テンプレートツールだと場所指定だったので設定が面倒でした)。
確かに、Invoiceが「#1」、Date:が「11/29/21」、To:に宛先、Subtotal、Balance Dueに数値が入っています。定形書類でも微妙に位置が変わるような場合は「画像テンプレートツール」が使えないのでそのような場合は非常に便利かと思います。
一応対応言語に日本語があります。
ツールアップデート
いくつかのツールにアップデートが入っています。
- Auto Insights アップローダー
- Databricks DeltaLakeサポート
Auto Insights アップローダー
入出力カテゴリにAuto Insightsアップローダーツールが追加されました。
以前、別途提供されていたAuto Insightsアップローダーツールが規定のツールとなったということになります。
Auto Insightsは以前Hyper Annaと呼ばれていたプロダクトでいわゆるSaaS型のBIツールです。
ただし、Auto Insightsは現時点では提供範囲が限られています(日本は未提供)。まだ設定画面も日本語化されていません・・・。
Databricks Delta Lake サポート
DatabricksのDeltaテーブルがサポートされました。
※日本語のリリースノート未記載
その他
- Gallery から Server への用語更新
- Alteryx ライセンスサーバー
- AlteryxActivateLicenseKeyCmdの新しいオプション
Gallery から Server への用語更新
Alteryx製品の用語の更新にあわせて、メニュー等の用語の統一が図られました(Gallery→Server)。パブリックギャラリーもなくなったため、保存メニューがなくなっています。
新バージョン(2022.1)
旧バージョン(2021.1)
Alteryx ライセンスサーバー
Alteryx License Serverでのアクティベーションプロセスが合理化されました。
※日本語のリリースノート未記載
AlteryxActivateLicenseKeyCmdの新しいオプション
ライセンスサーバーの情報を使って、信頼できるストレージを更新するオプションを追加しました。また、ライセンスモード、電子メールアドレス、ライセンスサーバーのURLなど、現在の設定を返すオプションも追加されました(該当する場合)。
※日本語のリリースノート未記載
※Alteryx Designer 2022.1.1.25127時点の情報です